藪の中

すっかり夏めいてきて、少し歩いた川沿いでは、ホタルが少し切なげに夜を漂っている。

立葵の花が咲くと、ああ、また一年がたったなと思う。

自分としてはなぜか季節の移り変わりを感じる花だ。


今日は国会中継を見ていた。

本当に、つくづく、これからの日本はどうなってゆくんだろうと思う。

もちろん今に始まったことではないが、少なくとも安心してはいられない時代だ。
しかし、「安心して」人々が暮らしていた時代などなかっただろう、とも思う。


どちらかが嘘をついている。

最近そんなニュースばかりだ。

または両方とも嘘か、ウソとホントが入り混じってめちゃめちゃになっているか。
まさに「藪の中」である。


身近でも似たようなことがあった。

-こう言ってたらしいね?

-いや、言ってないですよ。

-でも〇〇が△△だって君が言ってたと、Aさんから聞いたよ。

-いや、〇〇って単語すら使ってないと思います。

-え?そうなの?

-□□が☓☓とは言ったかもしれないけど。

-うーん。

たかが友人同士の会話で、薮に入ってしまうのだから、たくさんの組織が入り混じっていればなおさら、である。


しかし、本当に信じるべきは何だろう、と思う。


本当であるか、嘘であるか、そんな無味乾燥なことが問題なのではない。

大事なのはムードなんだ。

最後には悪いやつらは改心し、愛する二人は無事添い遂げるという物語のムード。

どんな物語も、数が多い方がムーディだったことは一度もないのだった。


ぜんぜん真面目な話じゃなくなっちゃった。

ごめんなさい。

きれいごとでうまくいくなら誰も苦労はしないよね。
でもさ、きれいな世の中であって欲しいと切に思うよな。

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